父の日礼拝

 現在、カリフォルニア神学大学院日本校のパンフレットを作成中である。その中で、聖書の正典的解釈についての説明について、以下のようにまとめた。
 「女、子どもを皆殺しにせよ」と神は本当に言われたのか。総長・佐藤陽二博士はこの疑問に対する答えを求めて1966年、渡米した。
 旧約には、神の言われたことと、人間が「神は言われた」と考えたことを区別しないで、「ワヨメル・エロヒーム(神が言われた)」と書かれている。従って、それら二つは分けて読む必要がある。その際、基準になるのがイエス様の言葉である。キリストは「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい(マタイ5:44)」と言われた。これを中心に旧約を解釈すれば、上述の二つは自ずから区別することができる。
 聖書は神の前における私たち本来の在り方(アイデンティティー)と、生活の仕方(ライフスタイル)はどうあるべきかの問いに答えるため、正典(カノン)として編集されており、キリストの言葉を中心に読まなければならない。
この学校では「聖書を正典として解釈し、アイデンティティーとライフスタイルを宣べ伝える牧師」を養成する。        
 この文章をまとめたのは、ポケモン・スペシャルの原作者、教会員の熊井秀憲氏である。私の集めた資料を元に、何度も何度も推敲して整えていただき、学校の特色が簡潔明瞭に述べられている。熊井氏は、より多くの時間と労力を家族と教会のために献げたいと、2年前に事務所を辞めて独立、今では週の前半(月〜水)まで執筆活動し、後半は家族と教会のために過ごしている。事務所を辞めるときには、1年半に渡る戦いがあったことはかつて証していただいた。今や熊井氏は、賜物を神と人、家族のために献げる、この世から区別された「聖なるシナリオライター」、「聖なる父親」となっているのだ。
 父・佐藤陽二総長も、海軍で培った真理を追究する精神を、戦後は神に向け、牧師となり、旧約聖書の正しい解釈を求めた。そして、ポケットに115ドルだけ持って、単身渡米した。戦後、科学技術をはじめ、あらゆる分野で最先端の学問が米国に集まっていたことから、米国に行けば、旧約聖書を正しく解釈できる先生と出会えるに違いないと思ったのだ。ロサンゼルスの日系人教会の施設で食事をしていると、そこで偶然、父を知る青年に声をかけられる。父は渡米前、ブラジルに移住を希望する日本人に、福音を伝えるための「力行会」とう団体で、聖書を教えていた。この青年は、そのときの講義に出ていたのだった。父が、神学校を探していることを青年に伝えると、彼が知っている神学校へと親切にも連れて行ってくれたのだ。その神学校で、ローリン博士という旧約の大家と出会い、「旧約には、神の言われたことと、人間が『神は言われた』と考えたことを区別しないで、『ワヨメル・エロヒーム(神が言われた)』と書かれている」と教えてくれたのだった。父は渡米して4ヵ月後には、家族を呼び、わたしたち一家は二年間、米国に滞在した。また、父は神学的な功績だけでなく、経済的な問題(「まず神の国と神の義とを求めよ、そうすれば与えられる」マタイ6:33)も信仰によって解決してきた。
御翼2011年7月号その3より

 
  
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